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理想の男

雑誌でも、合コンでも3つめくらいには入るベタな質問。

どんな異性がタイプですか?

あほくさ。知るか。
なんて思っていましたが、そのくせ思うだけで、
未だに私の好きなタイプってこんなだ、ときちんと答えられない。
よく知らないうちからなんとなく好印象な人もいるし、逆に知りもしないくせにあぁダメ、と思う人もいる。
それは、いっちょ前に私にも好みがあるというなによりの証拠ですよ。
それならばいっそ私にとっての究極、つまり「私の理想の男A君」を定義づけてしまおう。

まず、やさしさライセンスが前面に見える人は苦手。
それがたとえ本物のやさしさだとしても。だから彼はまったく悪くない。
苦手な理由は、こそばゆくて耐えられないから。
その気持ちは根底にあるだけで素敵であって、あまり表舞台にたたせないでほしいだけなのである。


ある日私がピンチにたたされたとしよう。
2時間以内に☆◆事務所に大事な書類を届けなければならない。
遅れたら私は多分クビになる。
でも電車ではどうやっても3時間はかかる。免許も持ってない。もう絶体絶命。

涙も出ない、ただ呆然としていると、後ろからクランクションの音が。
振り返ると、なんとA君。
今日は、彼の今後を左右すると言っても過言ではない商談があったはず。
「A君、なんでここに・・・」
「うるせえ、いいから乗れ。」
「・・・ごめん、あのさ・・・」
「気が散る、黙ってろ。」
A君はただ高速をぶっとばす。

どうにか私は〆切3分前に書類を手渡すことができた。
A君は、ほっとした表情と封筒を持っていた左手がフリーになっている姿を見て
「おう」
と初めてちょっと笑った。


これぞ究極です。私の妄想も究極ですが。
どうまとめたらいいんでしょう。
ものすごいことをやってのけてるのに、素気ない。
でも素気なさの裏にはものすごいやさしさがある。
こんな感じでしょうか。

さらに、
いわゆる俳優さんのような容姿ではないけれど、
その中身が醸し出すなにかで、それ以上にかっこよく感じられてしまったら、
もう、降参です。

これを私の「理想の男」の定義といたします。



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