男親 |
事実は小説より奇なり、とは言ったものです。 世の中は狭いですな。 はみんこの親さんは、今の私をなんだかんだで結構認めてくれているんです。 泣き言いってお小遣いせびるでもなく、とりあえずはみんこ村で生計立ててる、ということで。 仕事して、休日は遊んで、と自分の娘が幸せなら他はどうでもよいのだそうです。 曰く、結婚して幸せそうな人もいるし、辛そうな人も見てきている。 逆に結婚していなくて幸せなそうな人もいるし、そうでない人もいる。 そんなことはどうでもいい。とにかく自分の娘は「幸せ」でなくちゃいけないし、 そうであればあとはどうでもいい。 らしい。 私にはわからないけど、親心とはそのようなものなんでしょうか。 時に、男親というものは、娘に惚れたはれたの話などはあまりしないものですね。 うちも例に漏れずありませんでした。 でもようやく最近になって、 「お前はとりあえず、自分で生活してるし、人に迷惑かけなければ好きにやっていいんだぞ。 仲のいい男友達はいても、なにも結婚しなくてもいいし、一緒に生活したいと思うように なったらすりゃいいし。結婚したら幸せになれるとは限らんからな。 お前が一番いいようにやれ。」 と、こんなことを言うわけです。 はみんこ村まで車で送ってくれる時とか、とりわけ2人になった時に。 内容はもっともだし、単純な私は言うことをそのまま信じておりました。 ある日、地元で小中学校の女友達10人近くで群れて呑んでいました。 もちろんその時は、父上の言葉は頭の片隅にもありませんでした。 サワーなぞ呑んでいたら、隣にいた子供2人の母親でもある友人がおもむろに 「はみんこも結婚してほしいらしいよ」 というのです。 は?なんのこっちゃ、と頭がおかしくなりつつも頑張って考えてみたら、 その友人の旦那さんは、私の父上の部下なんでした。そういえば。 初めてそれを聞いた時は、つくづく世の中狭いなと思ったんでした。 つい、本音をこぼしたんでしょう。ちょっと変わった巡りあわせの部下に。 しかし私はあの言葉を鵜呑みにしていたので、それとかなり違う言葉に 殊のほか戸惑いました。 どっちが本当なんだろうと。 私に嘘をついたって父上にメリットはなかろうに。 と、いろいろ頭の中でひとしきりこねくりまわし、とりあえず答えらしきもが出ました。 親として娘の幸せを願っているのは大前提。 同時に娘の意向は尊重したい。 でも妹や例の友人を見ていると、やっぱり父親として長女にも結婚してほしい なんて気持ちが生まれてしまったりもする。 でもそれをストレートに言ってしまってはプレッシャーになってしまうかもと危惧する。 恐らくそんなこんなが交錯してこうなったんですよ。 どっちも本当だけど、娘のことを考えてこうなったんでしょう。たぶん。 なんだかこんななんですけど、ちょっと嬉しい気持ちになりました。 どんな形になるかわかりませんけど、期待は裏切りませんよ。 |