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つらかったのは・・・



1・違う、そうじゃない

「大したことないよ。」「自意識過剰だって。誰も見ちゃいないから。」
としょっちゅう言われたものです。

そうじゃないんですよ。
ほら、違う、違う、そうじゃ、そうじゃない、って鈴木雅之も歌っているよ。

そもそも、洒落で済まない肌を持つ者がニキビの話に触れることは、
素っ裸で外を歩くに等しい自殺行為なわけで、決して口にしません。
ですので、先方からそのセリフが出る時点で確実に大したことあるし、
誰もが見てるだろってな裏づけとなるわけですよ。

同じ悩みを持ってこれを見てくれている人は、たぶんうなずかれているかと思いますが、
そんな肌を所有している自分な時点で、もうダメで、
程度がどうだとか他人がどうだとかいうレベルのお話じゃあないわけです。

たとえば、109御用達ーみたいなナウな女子高生が、
西★とかダ☆エーのオバサン向けの服を強制的に着せられ、
さらにそれにとどまらず、その格好でもって渋谷を歩かなければならないとしましょう。

実際、彼女が視界に入った人々は、彼女に対して彼女ほど強い思いを持つことはないでしょう。
まあ「あ、ダサくね?」くらいの軽さで、たぶん3歩あるきゃ忘れてます。
でも、彼女にとってそんな服をきて街中を歩くなんてことは、
もうたまらなく耐え難い苦痛ですよ。

普段は、多分LIZ LISAとかCECIL McBEE着てる超イケてる女子高生が、
意味不明のキャラクタートレーナーと、サイドステッチ花刺繍入りのケミジーパンで
足元が真っ白スニーカーとあっては、
もう穴がなくても掘って入って隠れたいこと請け合いでございます。

つまりそれと同じことです。
モーレツニキビおよび、一生完治しない陥没ニキビ痕を晒して生きるというのは、まさにそれなわけです。

ダサい服がいやならすぐ脱げようものの、これが汚い肌とあっては気軽に脱ぐわけにはいきません。
脱ぐどころか、なにをしてもなにもしなくても、もっと汚くなるスパイラルに陥っているのです。
日に日にグレードアップするオバサンファッションを着せられる女子高生といった位置づけです。
服なら脱げる、肉なら落として元通りになる可能性もある、一重ならアイプチも整形もある。
だけど、陥没ニキビ痕は完治はしないし、整形のようなカモフラする手段もない。

もうはっきり言ってものすごくつらいです。

ということなのですが、周りからしたら
「『なに?そのブツブツ。』『顔洗ってんの?』と心ない言葉もいやで
『大したことないよ』などの慰めの言葉をかけてもだめってことか。
じゃあ、どうすりゃ満足なんだ。」という感じになることでしょう。

多分もう、とにかく
肌については完全無視してもらえるが一番ありがたいと思います。




2・断チョコ

いや、大好きなチョコを12年断ったのはつらかったです。
「チョコはニキビの原因ではありません。」なんてのもいくつか見かけましたが、
実際、食べると100%新規発生、既存ニキビは悪化してましたから、避けざるを得ませんでした。

一人で買わず食わずをやるくらいなら、自分の信念でどうにかなるのでまだいいのですが、
なにより厳しかったのは、職場で「おみやげですー」とか配られるあれです。
それを断ることより、必然的に起きるこのやりとりがたまらない。
自分も辛いし、相手にも悪いし、とにかく最悪。

「あ・・チョコはちょっと・・」
「え?」
「えーと肌が・・。」
「(ぁ・・・、という雰囲気の無言)」
というシナリオが瞬時で出来上がります。


好意で持ってきてくれているのに、食べられない理由を聞かされ、
あまりにもその通りだから、なにも言えなくなってしまうであろうお土産主を思うと申し訳なくて、
結局本当のところなどは言わずに、ありがとうと受け取ってティッシュにくるんで持って帰っておりました。

帰って、鏡越しにボロボロのニキビとニキビ痕の肌を見ながら顔を洗いつつ
もらってきたチョコのことを思い出したりすると、洗ってるそばからダーダー涙が流れたものです。

1リットルの涙なるドラマを思い出します。
ニキビなど比較の対象にしちゃいけないのかもしれませんが
私も高校の頃から、このひどい肌ゆえに何リットルの涙を流したかな、などと何回も考えたものです。



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